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砂漠の月、星の姫~road to East~

第2章 第二夜【国境の月~road to east~】

 男は、髪飾りを食糧と交換することを逡巡したタリムの心情をちゃんと見抜いていたのだ。やはり、ただの旅の楽師だというのは、この男の仮の姿であることは間違いなさそうだった。
「私が何者なのか、知りたくはないのか」
 唐突に問われ、タリムは息を呑んだ。つと顔を上げれば、燃える炎を宿した男の瞳が間近にあった。

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