
なななのな♪
第253章 2018年3月7日
俯いたまま顔を一向に上げない真希。
そんないじらしい彼女に要は優しく微笑みながら、真希の腰に手を添える。
「……? 要さ──」
ふぁさ…と音を立てて、要は軽やかに真希をソファーの上に押し倒す。
そして、驚いている真希に、ニコリと微笑みを向けたあと、ゆっくりとその唇を塞いだ。
「んっ……」
漏れた吐息。
腰に添えていた手は、ゆっくりと真希の体の上を滑って、両手で真希の頰を包み込む。
少しの間、触れるだけのキスをすると、要は顔を少しだけ離して、至近距離で真希の事を見つめた。
「そんなに痩せたというのなら……真希さんをいただいていいですか?」
「っ……か、からかわないで下さいっ!私は真面目にっ…」
「からかっていませんよ? 僕はいつだって本気です。特に、あなた相手には──」
「っ…んっ…あっ……」
耳元にキスを落とした要は、はぁ…と息を洩らしながら、自身のネクタイを緩める。
結び目が、シュっ…と音を立てて下へと降りていく。
その華麗な仕草を見ながらは、真希はドキドキと鼓動を速まらせていた。
襟元をネクタイが通って、そしてふわりと宙を舞う。
真希がそれを目で追っていると、要は真希さん……と名前を呼んで再び真希に顔を近付けた。
「──よそ見はダメですよ」
「っ………」
甘い甘い囁き…
それだけにびくりと体を震わせる真希が愛おしくて、要は少しだけ口元を緩ませる。
「要さんっ…せめて…ベッドにっ…」
「無理です…」
「そっ…すぐそこじゃないですかっ…」
「分かりませんか? “すぐそこ”まで行くことすらも出来ないほど、もう僕は我慢が出来ないんです」
「……っ…」
直球すぎる言葉に、真希は何も言えずにただされるがままでいることしか出来ない。
少しずつ、余裕なさげに息を荒げる要。
2人の夜はまだまだ長い。
今日も…
寝不足は解消出来そうにない──…
そんなことを思いながら、要は再び熱く真希の唇を塞いだ。
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