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なななのな♪

第253章 2018年3月7日


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「要さん…」


ふぅ…と息を吐いてソファーに腰を下ろした要に、真希が少し心配になりながら隣に腰掛けた。



「……どうしました…?」



仕事終わり。


ようやく愛しい人の顔が見れる──…


そう思って寄り道もせずに帰宅したのだが、期待していたような表情を見せない真希に要は顔を覗き込む。



「最近…ちょっと働きすぎなんじゃないですか…」


「え……?」


「少し…痩せたような気がします」



見上げてきた真希に、要は目をパチパチとさせる。



「は…あ…そうですかね…?」


「そうですよっ…もぉ…自覚ないんだから!」



ゆっくりと、躊躇いがちに抱き着かれて、要はトクンと自身の胸が鳴るのを感じた。



「………お昼ご飯とか、ちゃんと時間を作って食べてるんですか?」




心配されている…


要は柔ではない。それに仕事は楽しいからするものであって、苦であったことなど一度だってない。


それでも、こうやって体を気遣ってくれる相手がいる事の幸せが要の胸を熱くさせる。


あの相手が想いを寄せる相手であったら尚更…




「大丈夫です。食べてますよ…」


「嘘っぽいですっ…!」


「────っ…」



顔を埋めていた真希がムッとしながら要の事を見つめる。

2人の黒髪が、部屋の中の照明に反射して照っている。



「…クマもあるし……」



そう囁きながら、真希はさらに心配そうに要の頰に触れた。



「真希さん……」



ああ……愛しい……


静かに言葉を返した要は、真希のその小さな手をギュッと握る。


それに、真希は軽く目を見開いて、顔を紅らめた。


そして、少し俯いて、はぁ…と溜め息を吐く。



「要さんが…お仕事が好きなのは知っていますけど…」


「……………」


「……もう少し、自分の体を大事にしてくださいっ…」






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