テキストサイズ

身代わり妹

第14章 誕生

「いやぁっ‼︎ もう嫌っ‼︎ 痛いっ‼︎ もう無理‼︎ 」


最初の痛みから8時間。

真夏の空は既に白み掛かっている。


何時間も痛みと戦う美優は、陣痛の波が来る度に泣き叫んだ。



「美優、分娩台まで来たんだ。もう少しで赤ちゃんに会えるぞ」

分娩台に跨る美優の横で、その手を握り締める。


「会える? もうじき?」

波の引いた美優が荒い呼吸をしながら聞く。


「もうじき! もうそこまで来てる」

美優の足元にいる夏実さんが答える。


「次の波で力いっぱい力んでね」

夏実さんの横で先生が美優に言った。



「あーまた痛くなってきた」


美優の顔が歪み、爪が食い込む程キツく俺の手を握り締めてくる。



ストーリーメニュー

TOPTOPへ