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身代わり妹

第14章 誕生

チリンチリン

喫茶店のドアの上の鈴が可愛らしい音を立てる。


大股に近付いてくる影。


「凌太…ごめんね……」

その表情を見ればどれだけ心配をかけたのかわかる。


「遅いから産科に電話したんだよ。そしたらとっくに帰ったって言うから、すげー焦った」

そう言って凌太は私の隣にドカッと腰を下ろす。



「……ごめん…忙しそうだったから、歩いて帰ろうかなって……意外と遠かった」

私を横目でチラリと見て、凌太はメニューを開く。


「美優の奢りだからな」

そう言って、凌太はアイスコーヒーを注文した。





「ねぇ、赤ちゃん生まれてもさ、たまには2人でデートしようね?」

アイスコーヒーを啜る凌太にちょっと甘えてみる。


「……恋人時代にあんまりデート出来なかったよな。結婚してからの方が出歩いてる」


凌太が医大を卒業する頃に付き合い出した。

なかなか会えないのなんて覚悟の上だった。

それでも暇さえあれば会いに来てくれる凌太が大好きだったんだ。



「たまにはこうやって外で2人で会うのもいいよな」

「うん!」


これからも、家族で…たまには2人で、たくさん出掛けようね!




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