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身代わり妹

第13章 敵意

「月島さん」

馴染みの患者さんをお会計に呼ぶ。

月島さんは私を ”萌ちゃん” と呼ぶ。

可愛がってもらっているようで嬉しい。



それなのに……

「美優ちゃん⁉︎ 」

月島さんの視線は、私の後ろの女に向けられていた。


ていうか、知り合いかよ⁉︎

あー、昔この女がこの席に座ってたんだった……。



「凌太先生と結婚したんだってなぁ、おめでとう」

月島さんの笑顔。

一向に私に向けられる気配がない。


「ありがとうございます」

幸せそうに笑う女にイラっとする。



「…お会計先にお願いしますっ‼︎ 」

私のイラつく声に、月島さんは ごめんごめん と財布を取り出す。

お金を出しつつも、月島さんの視線は女に向けられたままだ。



「今何ヶ月?」

「7ヶ月に入ったばかりです」

「いやぁ、楽しみだなぁ! 凌太先生はいい男だし、美優ちゃんは美人だし、どっちに似てもいいなぁ」


私を無視して繰り広げられる会話。

あははは〜じゃないっ。

お会計終わったんだから退けよ!



「八田さん」

わざとらしく、大きな声で次の患者の名を呼んだ。

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