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身代わり妹

第7章 喪失

「美優の住所はっ⁈ 」


机の上の大学ノートとペンを引き寄せる。

心臓は高鳴り、手が震え、

ペン立てを倒し、

机の上の資料は床に派手にぶちまけていた。



『……個人情報教えるの、タブーなんだぞ』

そう言いながらも川橋は美優の住所を教えてくれた。


「わかってる。悪用はしないと誓う。ありがとう」


書き取った住所を指でなぞる。

─────やっと美優に会える……。

目頭が熱くなった。



『海辺の町の診療所に行くって決めた時…お前だけは馬鹿にしなかった……

お前なら信用できる。

助けてやりたいってそう思ったんだ』


川橋の言葉に、胸が詰まった。


「ありがとう……」

心の底から感謝の言葉が出てくる。



『けどな、今は診療所には通ってない』

「え? じゃあどこに……?」


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