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不器用なタッシュ

第4章 シエロ

ファッションビルを出た向かいに、ファミレスがあったので


「渡辺さん、あそこでいいかな?」


「はい!構いません!」


たまに思うんだが、結構体育会系?


店に入って、席を案内される。


チェア側に座ろとした彼女に


「あ~奥に座ったら。」


こっちだと人も通るしな…何気なく言ったのに、目を見開かれた。


何か変なこと言ったかな?


けど次の瞬間には、真っ赤になる。


何でだよ!?


「あ…ありがとうございます。」


また、口元がムニムニしてるから…嬉しかったのかな??


ま、いいや…間持つかな。


すると彼女が質問してきて


「須永さんて…何が好きですか?」


ドキン!


『好き』って言葉に、条件反射の様に妙な不安感に襲われる。


「え…何をって?」


「食べ物…好物あります?」


あ…食いもんね…。


「ん~強いて言うなら…シチューかな。」


渡辺香織は、めっちゃ満面の笑顔で


「シチューが好きなんだぁ~!」


やたら嬉しそうに、微笑んだ。

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