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不器用なタッシュ

第6章 不安

締め切りが近い。
作品が出来ない。
香織が居ない。


自分でも、訳が解らない感情と不安が入り雑じり、身体を支配する。


ただ、無性にイライラする。


俺は携帯の電源を切り、ソファーを蹴飛ばした。


■□■□■□■□■□

しばらくして、電源を入れると香織からメールが届いていた。


『私、何かしたかな?とにかくゴメンね。今日も頑張ろうね。』


ゾクリ…。


身体に快感に似たような痺れが走る。


香織の俺への『愛情』。


それを感じる度に、安心感が湧いてくる感覚が、癖になってるのかもしれない…。


この感じって…何だろう?


普通だったら


『俺が感情的に、なり過ぎた。』


だろうが、俺は香織が一日に何回も送って来たメールを眺めるだけで、返信を一切しなかった。 


まるで、無言で母親にすがる子どもみたいだった。

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