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不器用なタッシュ

第4章 シエロ

渡辺香織との約束の日、財布をジーンズのポケットに突っ込んで、後は携帯だけ持って出掛けようとすると、握った瞬間振動する。


「安岡か?」


まさか、二人っきりにしないよな!


「何だよ!?」


勢いよく出ると


『ははは!嘉之、何慌ててるの~!』


電話の声の主は、土屋だった。


「土屋か…で?」 


ホッとしながらも、今から出掛けようとしてるのもあって素っ気ななく聞くと。


『な~に!折角かけてやったのにぃ~!』


頼んでないし!


「俺これから出掛けるから、用件なんだよ?」


『え~!出掛けんだぁ!これから会わない?』


相変わらず突然だけど、話し聞いてたのか?


「会えないわ!切るぞ!」


『ちょっと!嘉之!』


面倒臭い!
俺だって、暇じゃないんだよ!


いつもの土屋の気紛れだと思って、ブチ切った。

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