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秘密の派遣業務

第33章 送別会

まだまだ続く所長の言葉を感慨深く聞きながら自然と紗江の視線は桐沢を捉えていた。

所長の話を聞く桐沢のその表情からは何も読み取れない。

(…直哉さんは平気なのかな…。)

いくら想い合っていても、紗江が島を出れば会えなくなる。
部外者の島への出入りは許されていないし、研究所に居る者は自由に島からは出られないのだから…

未だに何も言ってはくれない桐沢に胸は痛むばかりだった。

気付けば所長の話しは終わる所だった。

咄嗟に笑顔を作り紗江は頭を下げた。

所長「じゃあ…紗江からみんなに一言挨拶してもらおう。」

所長の言葉に視線が一斉に紗江に集まった。

紗江はゆっくり息を吐き、気持ちを切り替えるように大きく息を吸い込んだ。

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