テキストサイズ

詩集

第19章 托卵

テキパキと、歯切れのいい言葉を紡ぎながら、コトミがどんどんと施術の準備を進めていく

「では、準備はよろしいですか?」

一通り説明が終わると、コトミはシュウさんと私を交互に見やる

「はい、お願いします」

シュウさんがそう頷くと、コトミは先が細くて胴が長い、大きなプラスチックの注射器のようなものを持って私の前に立つ

「受精をしやすくするように薬剤を挿入します」

コトミに促されるまま、私はソファーに手をついて、おしりを向ける

にゅる、とした抵抗とともに、注射器が私の中に入っていく

体温のないペニスを受け入れる感覚

注射器は一番奥で侵入を止めたあと、ゆっくりと引きぬかれていった

続いてローションで濡れた銀色のローターがお尻の中に入ってくる

私を監視する、金属の卵

視界の端でシュウさんがそれをじっと見つめていた

「では、始めましょうか」

シュウさんの前に立つ

筋肉質ではないけれど、広い肩幅と脂肪のあまりないお腹周り

がっちりした、男の人の体格

そして、下半身から飛び出した大きく膨らんだペニス

ごくり、と喉が鳴る

そっと、彼に抱きついた

腕を絡めて

抱きしめる

皮膚から伝わる熱い体温

胸を通して鼓動が震えている

そして、おへその下にひときわ熱くて柔らかい感触…

それが脈打って、ひくひくと震えている

「あ、あの…のどか…さん」

彼が戸惑ったように声を上げる

彼の顔を見上げると、優しい瞳が私を射抜く

「リラックスして、はじめましょう」

彼を抱いたまま、ゆっくりと私はベッドに倒れこんだ

ストーリーメニュー

TOPTOPへ