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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第21章 番外編第四話【轍~わだち~】

 この問題は、大好きな祖母の過去の汚点(こういう言い方は晶はたいそういやであったし、心外ではあるけれど)に触れることになるからだ。晶にしても、尊敬もする、幼い頃からの憧れでもあった祖母が自分の母を捨てて他の男の許へ走ったなどとは考えたくないことだった。
 晶が唐突に湧き上がった問いかけに内心狼狽した時、祖母がふわりと微笑んだ。それは、あたかも花が綻んだかのような美しい微笑みであった。

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