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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第20章 番外編第三話【秘恋~背徳の恋~】 睡蓮の池 

 織部は一体、あの時、何をしようとしていたのだろうか。そして、何を言おうとしていたのだろうか―。とくが来てくれたお陰で、織部はもういつもの彼に戻っている。穏やかな物腰も、少しばかり話し好きなところも変わらない。つい今し方、光円がかいま見た眼差しの暗さは少しもない。あの彼にまとわりついていた拭いがたい翳りは、何だったのだろう。いくら考えても、光円には解せず、自分が見た白昼夢としか思えなかった。

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