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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第18章 番外編第二話【薔薇ものがたり】 薔薇の乙女 

 弥生は首を激しく振った。
「止めて、お父さま」
 父が影で画壇にもかなりの影響力を持つことを、弥生はよく知っている。長らく画商をしていて外国の名品を扱うことも多い父は、日本画壇の重鎮と呼ばれる大家に知り合いも多い。父の言葉は単なる脅しではない。
 伊右衛門が頬から手を放し、徳三郎を見た。

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