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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第14章 番外編第一話「潮騒の詩」~海辺の恋~

 亮平は眼を凝らして、前方を見つめた。海神の日にわざわざ一人で浜辺に来るとは、随分と風変わりな娘である。この日は海に供物を捧げにくる以外は家の中でじっとしているのが普通なのだ。
 うっかりと浜辺をうろつこうものなら、海の神に魅入られ、水底へと連れてゆかれるという言い伝えもある。たいていの娘や子どもはその言い伝えを信じ、滅多と家の外には出ないし、ましてや浜辺になぞは来ない。

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