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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第14章 番外編第一話「潮騒の詩」~海辺の恋~

 それほどに、身重の母に新鮮な取り立ての魚を食べさせてやりたいと思ったのか。海の神の怒りを忘れるほどに衝動に勝てなかったのか。父は母を大切にしてくれたと、母はいつも亮平に話した。恐らく、父は母をそれほど愛していたに相違ない。二十五になる亮平は、まだ妻を持たない。

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