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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第11章 第四話【縁~えにし~】 早春賦

 子ども用の小さな椅子に、長い脚を窮屈そうに折り曲げて座っていた浩三の姿が今更ながら思い出される。四年前と全く変わっていなかった。黒メガネの奥の優しそうな眼も、整った顔立ちも。流石に以前のような着物に袴という書生のようななりではなく、ちゃんと背広を着てはいたけれど、相変わらず、とりとめのない飄々とした雰囲気がするところさえ変わらない。

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