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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第11章 第四話【縁~えにし~】 早春賦

「今頃になって、僕が何も知らなかったことで君を随分と苦しめたのだと漸く判った。何も知らないことは寛容なんかではなく、ただ無責任であり無頓着であるだけだ。君を守りたいと思うならば、僕は君についてもっと知っているべきだった。君がこれまで過ごしてきた日々を知ってさえいれば、僕はすぐにここに君を迎えにくることができたはずだ」
 浩三の振り絞るような口調には、深い悔恨が込められている。

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