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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第11章 第四話【縁~えにし~】 早春賦

 だからと言って、幸の犯した罪が消えてなくなるわけでもない。世間的に言えば―いや、およそこの世の中のありとあらゆる常識から推し量っても―幸は浩三を裏切ったのだ。言い逃れはできなかったし、またするつもりもない幸であった。
 ふいに浩三は手近にあった小さな椅子を引くと、腰掛けた。

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