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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第11章 第四話【縁~えにし~】 早春賦

 亮平と海辺の小さな家で過ごしたひと月余りの間、幸は数え切れないほど亮平に抱かれた。それは確かに良人浩三への裏切りであったが、幸は亮平を心から愛することはけしてなかったのだ。例えるなら二人の子どもたちに向けるような情愛を感じることはあっても、浩三に対するような切ないような愛しさではなかった。

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