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空の記憶~あなたと私と彼、それから~

第8章 第三話【波の音】 予感

 明治になって諸外国との交流が盛んになるにつれ、英語を理解する語学力も益々必要になってきた。その時流にのって、翻訳本を求める知識人階級もわずかずつではあるが増えている。浩三の翻訳という副業のお陰で、一家は大学の助教授という肩書きには分相応な暮らしもできるのであった。もっとも、幸にしろ浩三にしろ、端(はな)から華美な生活や奢侈を好まない。

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