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1人かくれんぼ〜貴方を呪います〜

第9章 思い出



 振り向いた先には、明らかに怒りの表情をした沙織が、香織の事を睨んでいた。

 その沙織に隠れるように、後ろには千里の姿も確認できた。

 いつもならヤクザのドンみたいに、腕組みをしながらその様子を面白そうに見ている優香里は、珍しく一緒ではないみたいだ。

「ちょっ! ちょっと! 痛いんだけど! 離してよ!」

 香織が肩を前の方にグイッと引っ張りながら、制服を掴んでいる沙織の手を放そうとする。

 しかし、その手は放れる事はなく、

「テメェちょっと顔貸せよ…」

 と、いつもなら考えられない程の小さい声で沙織は言うと、校舎とは反対方向に歩いていく。

 香織は、いきなり反対方向に引っ張られ、足元がふらつくなか、必死に身体を安定させようと、動かしながら、

「ちょっと! 痛いってば! 分かった! ちゃんとついていくから放してっ!」

と叫んだ。

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