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【夢小説】イケメン王宮 ユーリ

第2章 葛藤

「ユーリの目が覚めたようですね」

部屋の中へと入り
ベッド脇に立ったジルは
ユーリを見下ろした。


「ジル様、すみません……俺…」

「疲れがたまっていたのでしょう。
幸い明日から2日間はプリンセスも休暇ですので貴方もゆっくり休んで下さい」


そう言ってジルは口元に笑みを浮かべた。


『ジル……あの…』


椅子に座る月花がジルを見上げて
おもむろに口をひらく。


「なんですか?」

『休暇の間、私がユーリのお世話を
してもいいでしょうか…?』


(え……?)


驚いて目を瞬かせるユーリと同じくして
ジルも目を見開き月花を見る。


「貴女がですか?」

『はい、いつもユーリには助けて貰っているし、私も何かしてあげたいから…。
だからお願いします!』


ジルに懇願するように月花は頭を下げた。


「……」


僅かな沈黙の後、
ジルがくすりと笑い月花に告げる。


「しょうがないですね、
休暇の2日間だけですよ」

『あ…ありがとうございます!』


許可したジルとそれを喜ぶ月花を
交互に見つめながら
ユーリは心の中で呟く。


(ジル様……許可しちゃうの?)


ジルをじっと見つめると
ユーリの視線に気付いたジルが
意味深な笑みを浮かべていた。


(……?)


そんなユーリをよそに
ジルは月花へ話を続ける。


「そろそろ午後の公務の時間になりますので参りましょう。お世話をするのはその後ですよ」

『ユーリ、公務が終わったら戻ってくるから、安静にしててね』


そう言って月花は
握っていたユーリの手をそっと離し
椅子から立ち上がった。


「うん、わかった」


にっこりと微笑み返したものの
ユーリの胸の奥は
これから訪れる月花との時間に
複雑な気持ちを抱いていた。

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