
月琴~つきのこと~
第1章 第一話【宵の月】 一
「申し訳ありません」
治助がいきなりその場に跪いた。
「卯之助さんの言ったことは本当なんです。俺、お嬢さまの脚を見てしまったんです」
「―」
小文は絶句した。治助は口ごもりながら言った。
「でも、けして最初から見るつもりはありませんでした。大番頭さんに卯之助さんを探してくるように言われて、それで探している中(うち)にここまで迷い込んでしまったのも本当です。裏庭に来てしまって、どうしようかと途方に暮れていたところに、水音がするんで近づいてみたら、丁度、お嬢さまが井戸で脚を洗っていらっしゃいました。あんまり綺麗な脚だったんで、つい見とれてしまったんです」
治助がいきなりその場に跪いた。
「卯之助さんの言ったことは本当なんです。俺、お嬢さまの脚を見てしまったんです」
「―」
小文は絶句した。治助は口ごもりながら言った。
「でも、けして最初から見るつもりはありませんでした。大番頭さんに卯之助さんを探してくるように言われて、それで探している中(うち)にここまで迷い込んでしまったのも本当です。裏庭に来てしまって、どうしようかと途方に暮れていたところに、水音がするんで近づいてみたら、丁度、お嬢さまが井戸で脚を洗っていらっしゃいました。あんまり綺麗な脚だったんで、つい見とれてしまったんです」
