テキストサイズ

月琴~つきのこと~

第3章 第二話 【月琴~つきのこと~】 一

 ふいに傍らをひんやりとした夜風が通り過ぎ、妙乃は身を慄わせた。
 現(うつつ)とは思えぬ妖しいまでの美しさに満ちた夜桜は、姉小文の際立った美貌を思い出させずにはおれない。桜を見ている中に、いつしか姉のことを考えていた妙乃は突如として現実に引き戻された。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ