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偶然からの必然

第2章 偶然なんかじゃないよね?

「も…もしかして…!!」


私がそう言うと彼は勢いよく抱きしめた。





「嗚呼、五年前の…俺だ、千景。」

そう言ってさらに強く抱きしめる。


「会いたかった、会いたかったよ…千景…」



懐かしい温もり…




ずっとずっと、感じていたいー。













でも、

私は貴方を覚えていないよ…





何で……何で………!!!




そう考えて、必死に彼を思い出そうとする。




頭が…痛い……




考えれば考えるほど、痛みは酷くなる。



「千景…どうしたんだ?…会えたことが、嬉しくないのか?」




彼は心配してくれるけど、私はそれどころじゃない。


痛い…痛い…





ズキズキと頭が痛む。





「千景…千景…!!」



最後に愛しい彼の声が聞こえる。





私は彼の腕の中で、意識を手放したー。







折角貴方とまた出会えたのに。


神様は、なんて意地悪なんだろう…

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