テキストサイズ

愛の嵐

第41章 擬議×啼哭=縁成

《大野時間》

はあ~、帰ってきたなぁ
日本を出て何年になるかな
みんなは元気にしてるのかな?

大「さて、どうしよう」

大学の途中で留学したまま数年を海外で過ごした
その間は友人と呼べる人との連絡を切った
俺の携帯にはその友人達は登録されていない

大「街並みも変わるもんだなぁ」

描けそうな景色に足が止まる
賑やかな都会を絵にしてみるのもいいかもなぁ
などと考えて眺めていた

大「この車が邪魔なんだよ」

何の変哲もない車なんだけど
今見てる視界には不必要に見えた
目の前の車を罵っていたら

「俺の車なんですけど、何してるんですか?!」

ビクッと肩を揺らしてしまう
ヤバッ、聞かれたかな?

大「すいません!何もしてないし、言ってないですよ!」

相手の顔も見ずに頭を下げた
怖い人だったらヤバイから取り敢えず謝ったもん勝ちでしょ
相手の動向を窺っていたら

「さとし?」
大「へ?」

恐る恐る頭を上げると見知った顔があった

大「しょ・・う?」
櫻「やっぱり!智じゃん!久しぶりだな♪」
大「あ、あぁ、そうだな」

驚いて声が震えた
いや、正確には違う
会いたくなかったんだ
この笑顔が見たくなくて留学したのに
まさか最初に会った知り合いが翔だなんて

櫻「どこ行ってたんだよ!いつ帰って来たんだ?」

次々降ってくる質問が頭に入って来ない
大学の頃と変わらない優しい声が耳に痛い
あの頃と変わらず・・・綺麗な顔してんだね
キリッと痛む胸に気付かない振りをした

ストーリーメニュー

TOPTOPへ