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最後のキス~琉球の海を渡る風~

第3章 The wind of Ryukyu~琉球の風~

 と、藍那はひとりでに応えていた。
「首里天加那志が琉球の美しき海だといわれるのであれば、私は風です。この海を優しく吹き渡る琉球の風となり、あなたさまのお心をお慰めするでしょう」
 まるで自分ではない誰かが―他人が自分の身体を借りて話しているような妙な感覚だった。
「国王が海で王妃が海を渡る風、か」
 王はこの応えがとても気に入ったらしい。先ほどの落胆した様子が嘘のように明るい表情を取り戻していた。

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