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最後のキス~琉球の海を渡る風~

第3章 The wind of Ryukyu~琉球の風~

 死にたくない。彼が次いで洩らした声はかすかに震えていた。
「怖いんだ。光もない闇ばかりの世界で、たった一人、もう二度とそなたにも逢えない。そんな日が来るのかと思うと、怖くて堪らない。私は今にも消えそうな蝋燭を身体の内に抱いて、細々と神に許された残り少ない日々を紡いでいっているんだよ、真戸那。

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