テキストサイズ

最後のキス~琉球の海を渡る風~

第3章 The wind of Ryukyu~琉球の風~

 王の言う〝あそこ〟というのが何を示すのかは判らなかったけれど、手を掴まれたままで二人とも小走りに雨の中を駆け抜けた。
 直にその場所はすぐに判った。ひときわ大きなガジュマルが一本植わっている。王や藍那の部屋の前のガジュマルもかなりの大きさだと思っていたが、これは更に何倍も大きい。冗談ではなく、この国の王朝が始まった当時に植えられたのではないかとすら思ってしまう。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ