
チョコレート
第10章 過去
「彩ちゃん…」
「ん?…キャッ」
涼くんは私に近寄り
膝の裏に手を入れて
背中に手を回し
私をひょいと持ち上げた
お姫様抱っこ。
「りょ、涼くん!?」
「保健室行くよ」
「え!?」
涼くんは私を抱っこしたまま
屋上を出て保健室に向かう
幸い放課後だったから
生徒はまだ少なかった
でも、私たちとすれ違うと
みんな振り返る
そりゃ見るよね…
「涼くん、私歩けるよ?」
「いいから」
…優しいな
保健室に着いた
「先生おるー?」
…
「いない見たいだね」
「しゃあない」
そう言って私を
ベッドの上に座らせた
