
この手を離さないで
第7章 第七章 待ってる
彼女いたんだ…。
「いや、彼女じゃないっか…。
彼女になる予定だった子だよ」
予定だった?
「どういうこと?」
「それは俺の口からは言えない。
渚ちゃんだって、尚人に直接聞きたいだろ?」
「うん」
「素直だね。」
陽の手が私の頭の上に置かれる。
「じゃ尚人が自分から話せるようになるまで待っててあげて。
あいつだって本当は全部わかってる筈だから…。」
「わかった。
さっき、俊に待つって言ってきたし…。
大丈夫だよね?」
ふと、上にある病室を見上げる。
「ああ、大丈夫だ。
きっといつもの尚人に戻ってくれる。」
