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~多重人格パートタイムラヴァー・ガール~

第117章 美香のPartTimeLove⑮

「源氏名っていうんだ。お仕事の時の名前だ。何か使ってみたい名前ってあるかな?でも、今までそういうのって考えたこともなかったでしょ?この業界。名前をつけて、いよいよスタートや」
ボビーさんが楽しそうに言った。
「ミカ」
アタシはそう言った。

一瞬空気が固まったようにボビーさんもイッキ君も言葉が出なかった。
「それは本名だよね」
そう言ったのはボビーさんだった。
「この業界、知り合いにバレることをみんな気にして女の子たちは働いてるんだよ。だから本名は使わない方が安全だと思うよ。」
ボビーさんが諭すように言った。
「アタシは他府県から来てますから心配は少ないです。大丈夫です。アタシ、もうこれ以上名前を増やしたくないんです」
アタシはそう言った。
何故だか少し強い口調になった。
「いいよ。わかった。本人がそういうなら、いいんやないかな。『ラピスラズリ』ミカの誕生や」
ボビーさんはアタシに向かってそう言い、次にイッキ君の方を向いて目で伝えた。


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