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理想と偽装の向こう側

第19章 罪悪感?

「それね…。感動的でヒットしたけど…所詮映画だからだよね…。他人事だから、感動もんに出来るんだよね…。」



小田切さんらしくない、棘がある言葉。



いつもより低い声音で、言い捨てる。



「小田切さん…?」



私が伺うように見上げると、いつもの小田切スマイルになり



「…何てね!光花がね、亡くなった当初は、荒んでたからそう思ったけど…きっと、美しい純粋な愛情に、みんな感動するんだよね…。」



「うん…。そうだよね…。」



そう言ったけど…じゃあ…私たちは?



どうしようもなく、傷を舐め合って現実逃避してるだけの関係は?



「香織ん!二本借るけど~他は?」



「あっ!大丈夫!」



カウンターに向かう小田切さんを追いかける。



その答えは…きっと誰も導けない気がした…。



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