テキストサイズ

理想と偽装の向こう側

第17章 希望と絶望

「花の独身、卒業の~。」



滝島がニヤリと笑うと、佐伯さんが、何故か震えた声で聞いてきた。 



「小田切さん…ご結婚されるんですか…。」



「あ~うん。まだ、婚約したばかりだから、来年辺り式を考えてて。」



「ひぃっ!」
「はははっ!」



佐伯さんの悲鳴と、滝島の笑い声が同時に響く。



二人とも大袈裟だな!
変なの~。



「失礼しますね…。」



佐伯さんは、俯きながら自席に戻って行った。



「俺…何か悪い事言ったかな?」



「ひぃ~ははっ!天然者同士、上手くやれよ!明日から、女子に泣かれるだろうけど。」



滝島は満面の笑顔で、バシバシと俺の肩を叩いた。



「えっ!何で泣くの?」



一瞬、間を置き滝島は、今度はニヤリと笑い



「変な行動してくる子がいても気にするなよ~プリンス小田切っ!」



「なんだよ!そのプリンスって!」



変な名目、付けるなよ!




****

でも、翌日から滝島の言ってた事を若干、痛感する羽目になった…。



「久喜さん、このファイルなんだけど…。」



「小田切さん!!グスンッ…。」



えっ?
また、泣かれた…今日で、三人目だ…。



何故だろうか、心当たりが無いんだけど!?

ストーリーメニュー

TOPTOPへ