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理想と偽装の向こう側

第16章 懐古

ドクンッ…。



何だ…鼓動が大きく打ち鳴る。



「はい…先ほど、有り難うございました。」



「もう、お帰りなんですね!」



ドクンッ…。



「はい。」



自分の動揺を隠すかのように、出来る限りの笑顔を作る。



「駐車場券、面会のところでスタンプもらえました?」



彼女の自然に場を明るくさせる微笑みに、無意識に引き込まれながら。



「はい…受付した時に。」



「なら、良かったです!滝島さんには、いつも声かけてもらうんですよ!楽しい方ですよね。」



あいつ…。



「変な奴でしょ。何か言われたりとかしてない?大丈夫かな?」



水越光花は、一瞬赤くなり、



「だ、大丈夫です…。」



と照れくさそうに、言ったもんだから、



「滝島に、からかわれたりしてない?」



胸騒ぎがした…。



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