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理想と偽装の向こう側

第14章 時限爆弾

「エ〓セルホテル…に行って下さい。」



小田切さんは、運転手さんに行き先を告げる。



「ホテル?」



「マンションまで、来るかもしれないから。逃げてるみたいだけど、怒り心頭してたら何をしでかすか分からないから…。」



小田切さんは、嘉之のことを理解してた。



「う…うん…そうだよね。」



「香織んも、ちょうど着替えあるしね!」



「はは…役立った~!」



アパートに戻るため、少しだけ荷物をまとめたのが、こんな展開になるなんて思わなかったな。



荷造り中は、辛くて泣いたのに…。



タクシーから流れる景色は華やかで、ネオンが輝いている。 



チラッと小田切さんを見ると目が合い、微笑んでくれた。



束の間の安息…。



今は、一瞬でもいいから、それを味わいたかった。



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