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理想と偽装の向こう側

第14章 時限爆弾

小田切さん!



「一緒に帰るよ。香織ん!」



「…何で…なんで、居るの…ここに…。」



小田切さんは、いつもの笑顔で手を伸ばしてきた。 



「香織んを迎えに、来たからだよ~!」



「仕事は…忙しいでしょ…。」



「あぁ~スケジュール調整なんて、何とかなるからね!それより優先順位ってものがあるじゃない!」



どや顔で、そう言って小田切さんは私の手を取った。



「ふぅ…。」



泣きそうだよ…。



「早く帰ろう!」
「う、うん!」



その時



「チャラチャラ~!」



嘉之から電話が、来た!
どうしよう…このまま逃げたい…。



「香織ん…。」
「ん…大丈夫…。」



私は、恐る恐る電話の通話ボタンを押した。



『香織!もう停めて待ってんだけど、まだかよ!』



「あっ…今、降りたから…。」



『早くしろよ!長くは停めておけないからさ。』



何よ~ホントに暴君なんだから!



その瞬間、小田切さんが携帯を私の手から奪った。



「あっ!」
「もしも~し!よっしぃ~!俺だけど!」



『あんた…小田切っ!』



「は~い!小田っちで~す!」



小田切さんっ!!何を!


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