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理想と偽装の向こう側

第14章 時限爆弾

18時

終業のチャイムが流れる。無駄に残業とか、したくなるな…。



これから起きることを考えると、椅子に座っていながらも、目眩がしてくる。



一応嘉之には、15分後に下に降りると、さっきメールした。



『会社出たところで、車停めておく。』



とのことだった。



「はぁ…気が重い…。」



ブレスレットに右手を重ねる。



今日一日、数えきれないくらい、繰り返した行為。



「なべちゃ~ん、顔色悪いけど、大丈夫?」



樋口さんが、心配して声をかけてくれた。



「あっ!うん…寝不足で…。ありがとう!」



「気を付けて帰ってね!」



「うん…。」



気を付けては、いるけどね…。



「今、なべちゃんに、下のピロティで待ってる人いるって、受付から連絡あったよ。」



ゲッ!さっきメールしたのに! 
受付まで、通してこないでよ!!



「…ありがと…。じゃあ、お先ね~。」



「お疲れちゃ~ん!」



あぁ…三途の川渡る時って、こんな感じなのかな…。



グッタリしながら、エレベーターのボタンを押した。



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