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理想と偽装の向こう側

第14章 時限爆弾

途中で夕飯を摂り旅館に着いたのは、21時頃だった。



大きくはないが、歴史がある様な、風情のある旅館だった。 



「小田切様ですね。お待ちしてました。」



「はい。遅くなってすみません。」



「いえいえ、お疲れでしょう。温泉はまだ入れますので。ごゆっくり寛いで下さいね。」



「ありがとうございます。」 



小田切さんの名前で予約してるんだから、当たり前たけど、何か気恥ずかしい…。



スマイルを振り撒く小田切さんに、仲居さんはハートが飛んでいた。



部屋に案内されて、簡単な説明を受ける。



「朝食は7時にお運びします。」
「お願いします。」



久々の純和室が新鮮だ。
なんとなく畳の匂いがする。



「温泉、入られますか?」



「はい!香織も入るよね?」



えっ!『ん』がない!
そりゃそうか…いちいちドキドキしちゃうよ。 

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