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理想と偽装の向こう側

第11章 亀裂

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『コンテストに応募する事にしたから、忙しくなる。また連絡する。』



嘉之が実家に帰って、二週間が経った頃に、送られてきたメールの内容だった。



相変わらず無気力な感じは抜けくて、メールにも毎回、必要最低限を心掛けた。



『そうなんだ!凄いね!頑張ってね
p(^-^)q』



ブラックのコーヒーを飲みながら、メールを送った。



「渡辺さん久しぶり~!元気?連絡が来てビックリしたよ!」



そう言って、爽やかな笑顔で私の前に据わった。



「安岡さん…ご無沙汰したしてました。」



私は、久しぶりに安岡さんに連絡を取っていた…嘉之のことを少し相談に乗って欲しくなったからである。



「堅苦しい挨拶なしなし!ちょっと痩せた?」 



最近、みんなに言われるな…。



「仕事忙しくて、ちょっとだけ…。」



「…嘉之と上手くいってる?」



やっぱり安岡さん、察しがいいな…。



「…分からないです…。上手くいくように努力はしてるつもりですが。」



「あっ!俺もコーヒー下さい!そっか~でも、こんなに長続きしたの渡辺さんだけだよ。」



「そうですか?」



長続きって…主と奴隷みたいな関係?




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