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理想と偽装の向こう側

第10章 信頼と疑惑

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「香織…水飲んだ方がいいよ。」


そう言って、嘉之がペットボトルを差し出す。


私は、手を伸ばし水を受け取り、横になっててもクラクラする頭で、なんとか言葉を発した。


「ごめんね…また貧血になって。」


私は、貧血を起こして、途中で気持ち悪くなってしまった。


「ははっ!べっつにぃ~。無理する必要ないし。てか、香織痩せたよな。ちゃんと食ってんの?」


「余り食べれてないかも…。」


元木爆弾喰らってから、食欲が落ちていた。


「明日、何か入ってる?」


「特にない…。」


「じゃあ、肉食いに行こうぜ。」
「肉?」


「安い所になるけど、焼き肉食べよう。」


「うん…。」


「よっし、決まり!まだ、クラクラする?」


そう言って、頬を撫でてきた手が、妙に優しい気がする。


「ううん…落ち着いてきたよ。」


「見てるから、眠りな…。」


「そんなの気になって、寝れないよ!」


「いいから、目瞑れ…。」


そう言って、優しくキスを落とす。


何かくすぐったい…二人で外食も初めてで嬉しかった。


穏やかな気分が眠りを誘い…眠りに落ちていく。


会いに来て、良かった…。


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