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理想と偽装の向こう側

第10章 信頼と疑惑

「『自分のこと好きな人』って~!それなら、私もチャンスありますよね!」



樋口さんは、腕を組んで椅子の背もたれに寄りかかり


「そうかなぁ~なんか深い気がするけど…」



「え~!須永さんを大好きなら、いいんじゃないんですか~?どう思いますか~渡辺さん!あれ?渡辺さ~ん!大丈夫ですかぁ~?」



「あ…うん…。」
「なべちゃん、マジ帰りなよ、生中しか飲んでないしさ。送ろうか?」



「だ、大丈夫…一人で帰れるよ…樋口さんありがとう。」



「気を付けて帰ってね。」
「うん…。」



私は、愕然とした。



どうやって帰ったか、記憶がない…。



嘉之のところに寄ろうかとも思ったが、正気でいられる自信も、その前に会えるかも自信かなかった。




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