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妄想しながら素直になろうよ

第9章 映画で妄想

アルフォンスの実。
元々は迷い込んで来た人間を捕らえ、薄い弱い生気を無理矢理濃くして貪り、枯れ果てた身体そのものも木々達は糧にする。
ここが人喰いの森と呼ばれるのはその所以だ。



蔦から受け取った赤い実を、王子の口元に持っていった。

「いきなり飲み込まないように。口に含んで舐めていてください」


「飴?」

何の疑問も抵抗もなく、王子はその実を口にした。

「甘いね。柔らかいけど、噛んだらだめ?」

「舐めていた方がいいですよ。噛んでその実が潰れると・・おかしくなってしまうかも、しれないですよ」


クスッと笑う俺を見て、王子はゆっくりとうなづいた。





アルフォンスの実はゆっくりとその効果を王子にもたらしていた。
下腹部がじんじんとしびれたように重くなり、熱がこもっていく。


「加瀬宮・・なんか・・おかしくなって・・きた」

その変化に不安を抱いて、王子は俺に抱きついた。


「大丈夫ですよ。ゆっくり舐めていてくださいね」


「うん・・でも、俺・・」

身体の芯から湧き上がる感覚に、鳥肌を立てて俺にきつくしがみつく。


「どんな感じです?」

「身体・・ざわざわ、する・・加瀬宮、ギュッてして・・なんか、怖い・・」


肩から背中にかけてをゆっくりと撫でてやりながら、抱きしめた。


「っ・・ふ・・ぁ・・」

吐息に色が混じり、もじもじと身体をくねらせてさらにきつく俺にしがみついてきた。



「効いてきましたね」


肌をさらりと滑る指に、王子は大きく仰け反って声を上げた。


「あぁぁっ、なにっ・・これ・・へん、だよ・・」

肌を一筋指がなぞっただけの、たったそれだけの感覚が身を震わせんばかりの刺激になってしまう。


「触ってるだけでも気持ちいいでしょう?」

「はぁっ・・ぅん・・しびれ、てる・・みたい・・きもち、いい・・」



うっとりと蕩けた表情を浮かべ、俺の手のひらに頬をすり寄せてきた。
スリスリと頬を擦り付け、甘い吐息をこぼす。

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