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素直になろうよ

第11章 最後の奇跡

「ありがとうございました」






終わりの挨拶にしては陳腐すぎる。

会社でだってこれからも会うというのに。

それでも、これが俺の区切りだった。

俺の恋心を終わらせる、けじめの言葉。





課長は少し眉を寄せたが、でも嬉しそうに笑っていた。












「俺。見合いするんですよ」


うーんと伸びをしながら、何でもないことのように軽く言葉を放った。




「え?」

内海はぽかんとして、もう一度「え?」とつぶやいた。


「見合い。しようと思って」

「そ・・うなの・・か」



唐突過ぎたのか、酷く驚いたような表情のまま課長は固まってしまった。

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