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狼男子の扱い方

第11章 夜、正門での行為




SIDE 美華







─………。





「みー?」




「っ」


涼ちゃんの声に
ぴくんと体が反応する。



「なに考えてたの?

 
 ……さっきから、時計気にしてる。
 なんか約束してた?」




クレープを握ったまま
あたしはうつむいた。






すでに学校を出てから2時間






あたしの地元は

学校から電車をつかって
1時間かかる…






もし、仮に向かったとしても



その時間だと

いつも最後まで残っている
吹奏楽部のコたちが帰る時間だ。









待ってるはずなんてない





そう思うのに…







どうして

こんなに気になるの?




いまさら行ったって……

















「みー、いっといで」






「……え?」



顔をあげると

涼ちゃんはすっ、と
あたしのクレープを抜き取った




「そんな眉間にしわよせて
 考え込むくらいなら
 会ってきた方がいいだろ?


 …すげぇ心配だけど

 みーがいかなきゃ解決できない」











どうして

なにも言わないのに
涼ちゃんにはわかっちゃうのかな。



いつでもお見通し。










あたしは涼ちゃんに
ごめん、と一言だけいって





駅まで向かった

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