
S×強気で恋になる
第80章 真一のバカ
高速を降りてしばらく走ると
大きな大学の校舎が見えてきた
「あれ?」
「あれは工学の建物。医学部はもっと奥。寮見たり、講義室みたりしてぇな」
「懐かしい?」
「懐かしいよ。俺初めて家でて、近くで一人暮らしして研究が詰まってくると藤間の寮の部屋泊まったり・・・若かったな」
「楽しかったんだ」
「モテたしな、俺」
「聞いてねぇ」
「あ?妬いた?ちょっと嫉妬した?」
「してねぇよ!!!」
「んだよ。俺プロポーズまでしたのに、振られたなぁ。懐かしい。」
「女に?」
「うん。あなたゲイでしょ?って振られた。ホモ男は嫌だって」
「そりゃーそうだろ。っーか、初耳。女にプロポーズって・・・」
「今度こそ妬いたな」
「はぁ?なんなんだよ。でも、・・・まぁ・・・俺の知らない真一に出会える?」
そう言いながら外を見る
裏門なのかひと気のない大きな門を車で通っていくと
たくさんの桜並木があった
「なんだよそれ。詩人だねぇ、純君は」
「・・・お前昔の話しねーもん」
「それはお互い様だろ」
「俺はしたよ。したし・・・お前に知られたくないことも知られたし・・・」
外を見たまんまで
珍しく本音を喋る純平に驚きながら
俺は車を来客用の駐車スペースにとめた
「・・・好きだよ。俺お前が」
「んだよそれ」
「着いたから降りろ。この大学でかいから、迷子なるなよ。俺から離れんな」
「藤間といるから大丈夫」
「喧嘩売ってる?」
「だってお前、歩くのはえーし」
「・・・しゃーねーな。そんなに手繋ぎたいか」
「はぁ?!!バカ!ドジ!!キチク!!!」
「照れんな。お前最近悪態ついてんの、照れてるだけだろ。やじゃないくせに。」
そんなことを言うから
言い返そうとするのに
藤間と楽しそうに思い出話をしていて
結果俺は置いてかれそうになっていた
「待てって!」
「遅い置いてくぞ。岡崎、久しぶりに三神先生のとこ行こうぜ」
「いらっしゃるかな。手土産買ってくればよかったな」
「さっき買っといた。おい、純平上見て歩くな。岡崎、ちゃんと鎖で繋いどけよ」
「あいつ桜見過ぎ。可愛いだろ?」
俺の人生の中で一番輝いていた時間を過ごした母校に、恋人が来てる
それだけで思い出に純平が上塗りされたみたいで
すごく楽しかった
