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?…好き…?

第33章 また手術…

『ストーカー君』
あの言葉が過った。
吸い終えた煙草を、靴の裏に押し付けて火を消す。
車に乗り込んだら、直ぐにエンジンをスタートさせた。
直ぐに走り出す…
それほど焦ってもいなかったが、多少その場に居る事も、気になってはいた。
にも拘らず、俺は車を走らせながら、裏腹な考えも捨てきれなかった。
会いたかった…
やっぱり…
ここまで来た事…
話せば良かったかな…
『子供達、保育園の間は暇』
呼んでくれてたのかなぁ…
そんなワケはないかぁ…
そんな考えを、だ。
駄目だ。
やっぱり俺…
どうかしてる…
こんなに、会いたい、と思う事も…
彼女が遠ざかるかも知れない、と怯えてる事も…
どうしたんだ俺…?
なんだってんだこの感じ…
人生の中で、色んな奴等が、近付いてきたり、遠ざかって行ったり、去って行ったりもした…
何人も、何人も、サヨナラもせずに、居なくなっていった…
そんな事、何度となく経験した。
もう…
そんなのは…
慣れっこ、の筈だ…
なのに…
何で彼女に対して、こんなに怯えたり、躊躇したり、苦しんだりするんだろう…?
何なんだいったい…
ホントに…
どうなっちまったんだ…
俺は…?
帰る道のりは、とても長く感じていた。
何で行っちまったんだろうなぁ…
俺ぁ…
バカだなぁ…
ホントに…
バカだよなぁ…
車を走らせながら、繰り返し繰り返し、同じ様な事ばかり考えていた。
音楽をかけても、煙草を吸って、残ったコーヒーを飲んでも、他の事には考えが向かなかった。
会えば良かったのか…?
会わなくて、正解だったのか…?
会いたかったのは、何故か…?
言えなかったのは、どうして…?
そんな気持ちのまま、家に帰った…

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