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?…好き…?

第16章 そして…

そう…
俺が、彼女のことばかり、考えている最中、息子がとんでもない状況になってしまったのだ…
医者の口振りでは、『大事を取って』
と感じられたので、そう心配することはない、とは思うのだが…
もしも…
そう思うと、息子のことは勿論、妻のことも、考える…
心配で仕方ない。
それは、おそらく、妻も同じである。
どうにも気持ちが落ち着かない。
いつも、妻は俺を癒してくれる。
が、今回は寧ろ、俺が妻を癒すべき状況だ。
でも、今回俺自身も…
ここ数年、辛いことがある度、妻以外で俺を癒してくれたのは、彼女の存在だ…
いったい、何を考えているんだ、俺は…?
こんな時に、彼女のことを考えているなんて、どうかしている。
分かりきったことだ。
だが、こんな時だからこそ、彼女の笑顔に癒されたい、そう思う自分がいる…
最低だ…
最悪の男だ…
この期に及んで、彼女を想うなんて…
なのに…
やっぱり彼女に会いたい…
息子の検査は、一週間先。
結果が聞かされるのは、更に一週間先。
考えても、何も出来ない。
寧ろ、家で息子や妻に、変に気を遣っても、不安を煽るだけだ。
そんな折り、親戚から果物が届いた。
ウチの長男は、お菓子より、果物やトマトなんかが好きだ。
よく彼女の子供の話で、長男と一緒だ、と話していた。
『チビちゃん果物好きでしたね、貴女はどうですか?親戚から沢山届いたので、差し上げたいのですが、どうでしょう?』
メールをした…

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